全国災害ボランティア議員連盟
研修報告2 避難について考えます
②「今後の原子力防災計画の方向性」
経済産業省 原子力安全・保安院
原子力防災課課長 松岡建志 氏
文部科学省 科学技術・学術政策局
原子力安全課 防災環境対策室長 田村厚雄 氏
経済産業省 原子力安全・保安院
・原子力安全保安院全体といたしましては、皆様にご心配をおかけしておりまし
て申し訳なく思っております。万全の対策を引き続き進めていきたい。
・原子力防災、様々な取り組み強化策が進められている。福島のような事故2度
と起こさないために、事業者・国・地域の取り組みを強化したい。
資料1
・原子力災害対策特別措置法(原災法)、原子力安全委員会が検討している防災
指針を法律の中で法定化したい。
・事業者の訓練を強化。実施状況を国が確認。訓練で十分な対応をしていない所
に罰則付き。
・原子力災害対策本部の対策強化。柔軟に規模に応じて本部員拡充。
必要な大臣が本部長に。
・国の防災体制の充実。規制庁。緊急時態対策官:今回、本来福島第一の所長で
決めることを、状況によって本店で決めた。本店の意思決定に技術の分かる人
間で管理職(審議官級)が入った上で相談・判断すべき。
・原子力地域安全総括官:オフサイトセンター(審議官級)、危機管理ユニット
原子力防災官:規制庁で新しくモニタリング含めた審議官。
・地方の防災体制の充実。サイト近傍に原子力保安検査官事務所。立地県に原子
力安全連絡調整官。地元に人を置きたい。地方環境事務所に環境原子力安全。
・緊急時態体制の整備。マニュアルの整備。国・地域の防災計画・指針改定。原
災法:4月施行に向けて改定。
・地域防災計画:国としては是非支援。ガイドライン改定してお見せしたい。避
難エリアは意味合いをきちんと把握していただくためのシミュレーションをす
るお手伝いをさせていただく。避難計画:3キロエリアにすぐ逃げていただく
ためのシミュレーションの仕方を示す。役に立ててもらう。
・資機材の整備、実効性の高い防災訓練、環境整備に努めたい。
資料2:
・防災対策・訓練強化。重点区域(EPZ)見直し⇒事業者自身の計画策定 8~
10キロ圏の自治体と相談していたが、協議対象の自治体30キロ圏にエリア拡
大。増える。
・原子力災害対策本部(官邸) 本部員はすべての国務大臣。
・原子力緊急事態の解除後も災対本部を維持できるように指示・検討。長期の本部・
現地本部が続く状況を想定していなかった。
・市長村長による避難指示の尊守。ホットスポットなどが見つかった時に、すぐ
市長村長が指示を出せるようにする。
資料3-1
・規制丁組織:緊急時態対策官、安全総括官、いずれも審議官級。
原子力安全調査委員会:規制庁の独立性をチェックする機関。
・原子力防災課・防災専門官等含め人数が多い。監視情報化。今後の防災計画の
改善など。
資料3-2
・事態即応センター、東電本店の中の総合対策本部に対策官を送り込む。
資料4
・国防災計画策定のスケジュール。どのように避難するか 原子力安全委員会で
検討。
検討状況を見据えながらも我々何ができるか・・・。
・防災基本計画:国が作成。省庁の役割
・EAL(緊急時に逃げるための事象、起きたらすぐ逃げる)
・OIL(IAEAが持ち込んだ線量が測定されたら逃げる実測地基準。例:50μシー
ベルトが計測されたので逃げる…など)
・防災指針:安全委員会が検討。委員会はなくなる。規制庁が引き継ぐ。
・3月 中間とりまとめで検討が終了し方向性が定まったものを指針に。
・原災法の政省令。原災法施行に合わせ改正。
・EAL(事象基準)事業者にきちんと書き込んでもらう。規制庁で詳細検討。
・地域防災計画:都道府県・市町村、改定策定。すぐには難しいので、半年程度
策定期間を設ける。どこまで具体的なものを盛り込めるか・・・EPZ拡大の範
囲のことぐらいしか盛り込めないかもしれない。順次具体的に盛り込んでいた
だく。風評被害対策も検討の上。今回の事象を盛り込んだ内容で風評被害対策
も。
・国による支援の内容:ガイドライン公表 被害想定シミュレーション EAL・
OILの周知説明・・・
・オフサイトセンター:2~3月原子力安全委員会で検討。4月以降規制庁で検
討。原発近傍にあるのはサイトの対応をするためだった。その意味合いで検証
しながら、代替
オフサイトセンターや県庁での対応などを総合的に考えていきたい。
・EPZ内(重点地域)8~10キロ:きちんと避難計画やモニタリングを・資機材
の配備・整備。
・見直し内容: PAZ(予防的防護区域)=原子炉にEALを検知したらすぐに逃げ
る。
・今回、結果的に避難できたUPZ=おおむね30キロ。モニタリング結果避難や屋
内退避など。
参考
・参考:PPA(放射線空気通過時)おおむね50キロ 屋外退避か安定ヨウ素剤。
・EPZ見直しで対象市町村が増え、資機材追加配備必要。予算確保。
・EAL・OIL:どう活用するかはまだ見当が進んでいない。防災指針のワーキン
ググループが検討。
・審議を引き取って保安院・規制庁で具体的にどういう避難の仕方があるのか検
討しなくちゃならないと考えている。
参考原子力安全委員会の防災指針のワーキング:避難に関する考え方:予測手
法⇒EAL・OILに基づき迅速判断できる意思決定手段の構築。規制当局で緊急
時態区分設定。事業者が事故の分類。
・初期段階以降は環境モニタリング結果・OILに基づき屋内退避やヨウ素剤など
措置決定。
・安全委員会ではEAL・OILの議論が主だが、保安院としてはスピーディは有用
性はあると考えている。安全委員会がスピーディの見解を示していない。私た
ちは使い方ではないかと議論している。
【質疑】
Q(福井) 逃げろと言われても、自分の街での避難するのではなく、行政区を
超えた避難もありえる。国が誘導するのではないのか?逃げろと言うだけか?
A 国としてはご支援をしないというわけではないが、すべて責任を取れるかと
言うと難しい。まずは自治体間、県をまたぐこともある・・ですから県と県同
士の間である程度調整をいただかないと。
私どもとして「こうしてください」と「ここの場所に来てください」と
は・・・、土地感もないので難しい。まずは、もし自治体の中で避難場所の調
整があるとしたら、ある程度検討したうえで想定して相談いただいておくこと
が必要。
避難指示:いくつか可能性がある。例えば今回実施したように、3キロ。5キロ
から出てください。国としては、住民の方々の生活・活動状況を止めて避難し
ていただく状況なので、国として緊急事態宣言をして伝えるべきだろう。
一方で15条事象だとはっきり示されるなら、事業所が国だけではなく自治体に
も伝えることを義務化する。自治体は国からの指示を待たずに連絡される可能
性がある。
整理は必要。
事業者からオープンにすぐにインフォメーションすれば、EALが正確に伝わ
り、それに基づいて住民が避難できる。整理をつけること。
順番に逃げる計画をし、近傍から逃げる誘導ないといけない。外の人から逃げ
て道路を埋めると、内側の人が逃げられなくなる。初めから計画的に検討すべ
き。
指示をする責任範囲を、国の中では緊急事態宣言をしてから国が支持すべきだ
が、どのような仕組みになるか、引き続き整理。
Q(茨木)オフサイトセンターは茨城も動かなかった。国の方から指示なかった
と言われた。そんな時こそ動かなければ意味がない。いらないという声も出て
いる。隣県でもちゃんと機能すべき。
A そもそも避難すべきかという避難案を最初に出すべきだった。残念ながらで
きなかった。地元に対し、避難に関する連絡や確認をやってきたと思う。いず
れにせよプラントのデータが入手できなかったので、対策を引き続きとる。在
り方の見直しを安全
委員会が行っている。
Q(兵庫)地域防災計画見直し、兵庫は色が付いていないが作るものなのか。
A UPZの作り方は地域防災計画を決めるときに最終的に考える。30キロ圏外で
色塗り。
Q 資料3-2 緊急時態の体制、立ち上がるのにどれだけ時間がかかるのか。
A おおむね1時間で対策本部、現地はもっと早い。事務局などおむね1時間を
考えている。
Q 国民保護を作った時に委員だった。ミサイルが落ちると言う時と似ている。
自治体を超えた避難も考えられている。
A 総務省でまとめたものは参考にしているものもあるが、似ている所もある。
検討はしている。
Q(茨木)要望だが、横文字が多い。「オフサイトセンター」もそうだが言葉の
響きが軽い。危機的状況に伝わらない。分かりやすい示し方を。
Q(北海道)同心円状の避難でいいのか?
A PAZは同心円。どの時間にどのタイミングで放出されるかわからない。難し
いのでまずは同心円。そのあと方向を決める。
Q 地域防災計画は事前協議から報告でいいとなった
30キロ圏内になれば、対象が増える。
A 基本的には地域主権。30キロは目安。あくまでも地域で決める。
安全基盤機構のシミュレーションがある。都道府県をまたがる避難は、国の調
整を求められるが、必要な調整が国ができることはやるが、自治体間の調整事
項でどれほどがあるのかわからないことには出ていけない。具体的に難しいこ
とがあれば逆にご教授いただきたい。
Q 法的にスピーディの情報を公開を担保すべきでは?百何十億かけたのだか
ら、分かりやすいものに。自治体の創意工夫にも支援を。
A 情報公開を旨とする。文科省として真摯に対応したい。何をすべきかと言う
と、災対基本法。防災基本計画の見直し進めている。役割分担が書いてあるが
位置付けをきちんと定めるべきと考えており、実現したい。
モニタリング。いろいろやっているので、ポータルサイトで示したい。
Q(山形)EPZ見直し、3月16日にアメリカは80キロ圏内退避指示が出たが、80
の根拠は?EPZが日本特有の小ささではないか?
A 根拠不明。国際的な他の設定と比較し、おかしい距離ではない。
慎重な距離だと思う。
Q 原災法10条・15条:今回、関係者が一堂に会した原子力災害対策本部が作
られていないのは違法ではないのか。
A 市町村との関係。オフサイトセンターに集まれなかったのはいたしかたなか
ったと考えるが、今後はとにかく連絡がきちんとできる体制が大事。今、県庁
の中に現地対策本部があり比較的コンタクト取りやすい状況。地元への支援が
しやすい体制が重要と考える。
Q(茨木)緊急避難(PAZ)は何時間で逃げることを想定しているのか。東海村
には7万人居住。
A 安全委員会から示されているPAZは時間が示されていない。径だけが示され
ている。標準的なシミュレーションに関し、こうできるとは支援できる。
Q(新潟)ヨウ素剤の服用について、現実にどうだったのか検証しているのか?
地域防災計画の中に入れ込む必要があるのではないか?
A 安全委員会の被ばく医療分科会で検証。防災指針のワーキングでも専門家が
調べている。様々調査されている。被ばく医療分科会ではなるべく家庭に配布
すべきと言う案が出ている。各戸配布。医療従事者の指示が必要だと言うこと
で対応を考えていかなくてはならない。
Q(兵庫)国民保護法ではテロを考えているが、ここでいう事故の想定は事業
所。テロと言う考えもしているのか?
A テロ対策は別に想定して対策を実施している。別途検討。どのような脅威を
想定かということは機微なものもある。対策をとるのは実力部隊が必須。警
察・海保が原発 警備中心。いざという時は自衛隊。